nuruinemuri

タイトルに偽りアリ

いとしの時限爆弾

旧約聖書の創世記には、神はたった7日間で世界を作ったとされている。十月十日で人間を作り育て産みだすのもすご〜と思っていたのに、やっぱり人間は神にはかなわない。

幼さとは、愚かで儚いものだと思う。その愚かかつかわいかったころのあたしは、部屋に男の子を招くとき、どんなに身ぐるみはがれても、絶対に化粧だけは落とさなかった。すっぴんを見せるということは、裸になるよりはるかに恥ずかしいことだった。どちらも見られるのではない、あたしの意思で見せないのだ。自分のプライドと比例して荒れていた素肌、隣に眠る男の子の意識があるうちには、絶対絶対絶対に見せない。ばかばかしいかもしれないけれど、こちとら全力の武装だった。この生活もいつ終わるかわからないので、なんとなく思い出してみる。君を守りぬくと決意したのは、たったの数時間後だった。もう二度と会わないのだろうなと思った人、きっと誰にも執着なんてしなさそうな人に必死に縋られた日。もう二度と傷付きたくなかったし、終わったことだと追い返すつもりだった。本当の優しさとは何かを教えてもらったばかりだったから。でも、他人に興味がなさそうなその人がぼろぼろ涙するもんだから、武装していた化粧が全部剥がされてしまった。あたしより先に君を守ると決意をしたのは、その人だったみたい。何が写ってるのか皆目わからない写真を小脇に抱えて、病院の下のドトールの窓際席へ。喉に刺さるミラノサンドは特別しょっぱくて、大好きなコーヒーの代わりに頼んだ、脳天をぶち抜くくらい冷たい紅茶で流し込む。何もわからず、こわい気持ちが勝った。彼の黒目に光がさしたのは初めてな気がした。君の入っていた袋と同じくらいの輝き、別人のようなまなざしだった。

意思は、いつ芽生えるのだろう。君がここにやって来たのには理由があったのか?自分がなぜ産まれたかもわからないのに。などと自問自答している最近のあたくしは、体の進化とともに、日ごと調子が芳しくなくなっていくけれど、ちょっとした仕事をし、あまつさえヨガなどを嗜んでいて、とてもかっこいい。機械じゃないんだゾ。君もきっとあたしと同じくらい、今必死なんだろう。そっちの居心地はどう?そろそろ狭っ苦しいだろうね。あたしはね、ちっちゃなあんよを手のひらに感じながら、君へのプレゼントを考えているところ。今は大寒、ピンクの梅の花もぽつぽつ咲き始めた。体に時限爆弾を抱えているような毎日と反し、春うらら、今日はやけにあったかかったよ。伝えたいこと考えておかなくちゃってことか。

 

 

今日の一曲

WINDLESS DAY / シャムキャッツ

 

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毒ではなとれる