nuruinemuri

タイトルに偽りアリ

部屋と陰毛とわたし

 

 男と暮らすということは、家のあちこちに、そしてなぜこんなところに、という場所に陰毛が落ちているということだ、と昔の偉い人が言っていた。たとえ好きな男のそれでも、陰毛であることには変わりない。ルンバほしいな、でもそしたらベッドの下に収納できないよなと考えながら、結局自分の手でコードレスクリーナーをガッと一気にかけて、そろそろ扇風機も掃除したいな、とかも考える。喋ったこともないのに一方的にブロックされている知らん女や、自分の彼氏との喧嘩にあたしを巻き込むだけ巻き込み長文クソLINEであたしの時間とギガを奪い取った挙句全SNSをブロックしてきたあの娘が、裏垢からあたしを監視してる隙に、クエン酸やらハイターを駆使してせっせと磨いたうちの風呂場とシンクは、舐めれるくらいにぴかぴかになってるわけ。あたしは同じことはやり返さない。鼻息荒くするの、みっともないので。好きな男の陰毛ほども興味がわかない人達に費やす時間と体力は、あいにく持ち合わせていない。彼女らは、自分もしくは他人の陰毛と向き合えているのだろうか?ジェントルレーズを5回照射してもうさすがに毛根消滅したやろおもても、ちょっとしたホルモンバランスの崩れでまた生えてくるんやぞ、やつらは。恋人の陰毛を飲み込んだことがあるのか?それをやってしまったら終わり、2日間くらい魚の小骨が喉に詰まった感覚があるんやぞ。酒もたばこも大麻もやっていない、つまりずっとしらふなんだよこちとら!ムキーーー!下着も裸も好きな男にしか見せないし、彼の陰毛もあたししか見ていない。

たまに、あたしは悪辣な人間なのだろうか、と考えてみて、途中でやめる。今はただ、自分の大切なものを守るのに精一杯なだけだ。それを悪と言われるのならもうそれでいい。ただし守ると決めたことは絶対に守るし、やり遂げる。さあ折り返し地点、ここまで守り抜いてきたそれをなぜて、あたしは今日もせっせと床を掃除するのだ。

 

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今日の一曲

バースデーケーキの上を歩いて帰った / チャットモンチー