「わたしの一番可愛いところに気付いてる君がすごい」とか「可愛くてごめん、産まれてきちゃってごめん」やら、可愛いについて言及する曲が近年バズっている。自己肯定感を上げることの大切さを説くメディアやインフルエンサー。自己暗示のように自撮りを載せて「わたしは可愛い」と呟くツイッターアカウント。NEO可愛いとかシンデレラバストとかプラスサイズとか、そうやって耳触りのいい言葉を作って使ってまでしないと上げられない自己肯定感など果たして必要なのか?そんなことはどうだっていいので聞いてください。あたしのいちばん可愛いところは、彼氏と会う約束がある日は仕事終わりにいったん化粧を落としてスキンケアから丁寧に丁寧に、サカナクション新宝島も、オナニーなんてしたことないですみたいな顔した淡色インスタ正方形ていねいなくらし女も、びっくりなくらい丁寧に化粧をやり直すところです。それを彼氏に悟られないように涼しい顔をしていることろまでが「可愛いところ」に含まれていますからね。そしてこのブログもきっと彼氏が読んでいるとわかりながら書いていますからね。
人生を損と得の二つで分けたら、あたしはずっと得している。彼氏の友達と3人で飲んでいるときに、二人喧嘩することあるの、と訊かれあたしはマジでこの人といるときは機嫌がいいのだと気づいた。そもそもこの男、会えばいつだって機嫌がいい。仲良くなりだした当初はいつかマジギレされてボコられるのかな、くらいには思っていた。ところがどうして一度もキレられていない。たった一度だけ、あたしが怒ったことがある。怒るというか、あたしも大概杜撰な人間だけれども、それを遥かに上回る彼の行動に呆れてあきらめに近い気持ちになったが、結局顔の良さで全て許してしまい、この世の理不尽さを痛感した。顔の話はさておき。喧嘩というものはどちらか一方がキレないと始まらないのだと今更わかった。なんて単純なこと!そして相手の機嫌がいいとこちらもずっと楽しい。テレビや漫画で女はすぐ怒るみたいなイジりをよく見ていたけれど、男のほうがよく怒る生き物だと思っていた。関わった記憶の中の男はあたしによく怒っていた。とある酩酊した翌朝、目が覚めて自分が誰とどこにいるのかもわからなくなったとき、ベッドで彼がすやすや眠っていて得した気持ちになった。たいていあたしの方が先に家を出る。目覚ましアラームは化粧をする時間、歯磨きする時間、何を着ていくか悩む時間、あわよくば彼にひっつく時間を逆算して設定している。彼は眠りが深くて、年に一度くらいしか夢を見ないらしい。そんな彼、目が覚めたら「眠ってただけか」みたいな顔をしてにこにこしながらまた目を閉じる。そのたび「赤ん坊は眠るという概念を知らないから眠気がこわくて、朝目が覚めると機嫌がいい」という人づてに聞いた話をあたしは思い出す。
彼の顔を撮るためにチェキを買った。すでにアルバムが埋まる勢い。てか、美味しいごはん作るしそこそこ可愛いし、多分床上手だし彼に腕相撲勝っちゃうくらい腕力あるし、つまり「ちょっとエロくて男に負けないポップな女」ってあたしのことじゃん!って気づいた浮かれぽんちなポップな女は、旅行の日程を一週間間違えていた。つまりお楽しみはまだおあずけってわけ。どうでもいいけど浮かれぽんちって下ネタみたいだな。
今日の一曲
Girls / Morning Light