nuruinemuri

タイトルに偽りアリ

ラブユーテンダー

 魚民のことを「ぎょみん」と読むくらいには酒の飲み方を知らなかったころは、シラフでライブを観るのなんて余裕で、当たり前だった。そんななか、バイト先のCD屋で流れてた曲があまりにもよくて、1000枚限定生産とかで、慌てて購入したのを見てた同僚だったしゅうちゃんが「もうすぐワンマンあるから一緒に行こうよ!」と誘ってくれたので、二つ返事で承知したら、次に会ったときに音源を全部貸してくれた、踊ってばかりの国。サイケのサの字も知らなかったし、レゲエは地元のドン・キホーテの駐車場で爆音で流れるチェホンしか知らないような、お尻に蒙古斑が残っていてもおかしくないくらいお子ちゃまだったあたしにとっては、得体の知れない音楽だったけれど、とびきりクールで刺激的で、なぜか懐かしい気持ちになったのだった。そして、シャングリラのシャンデリアの下で聴くサイケデリアレディは格別だった。そう、この夜初めて酒とライブハウスの相性というか、飲みながら楽しむライブを知ったのだった!

 

あれから早数年が経ち、心斎橋アニマにて踊ってばかりの国とGEZANのツーマン。そもそも、あんな満員のライブハウスは久しぶり。先攻の踊ってではリバーブが脳みそをぶん殴ってきてくらくら、このまま天国に連れたいかれる、というかここが間違いなく天国だ!ぶっ倒れるかと思った。新しい曲の連続で「今の俺ら最高やろ」と言わしめるような、下津の笑顔。

久しぶりに観た4人だけのGEZANは、サンプラーバグパイプなども使っていたのもあり、4人と思えない音圧。マヒトが出てきて、ああ、やっと夏が始まった!と思った。フロアではモッシュする人もいれば、自分の心臓を捧げるかのように拳を掲げる人、どこかの国の民族みたいに手をひらひらさせて舞う人もいて、今世界で一番自由な場所だと思った。

定期的に観てきた2組だけど、両者ともに今が一番ええ、と言わしめているようだった。そして、聴き手側に生を感じさせるようなステージだった。

アンコールは下津も出てきて「待夢」。祖母が亡くなってから、この曲がより一層大切になっていた。旦那と、腕を組んで飛び跳ねて聴いた。今この人と一緒に2組のライブを観れるのは、奇跡みたいなことだと思って、堪らなくなった。彼はしきりに「今日のこと忘れたくない」って言っていた。あたしは「僕らは幸せになってもいいんだよ」を、勝手に祝福の言葉と受け取った。

 

今日の一曲

GEZAN / DNA

f:id:seijunchann:20230830002252j:image

 

結婚した

マツエクやらネイルに行くとき、予約していた浅野です、と言いそうになるが、べつにあたしの名字が浅野だったことは今まで一度もない。平凡だけれど、クラスに2人も3人もいるわけでもない、自分の名字。20数年一緒に過ごしてきたそれと、おさらばしてきた。


一年前のパイ山で、染めたて切りたての髪を肩でぱたぱたと揺らしながら、うろ覚えな君の顔を探した。その前に会ったときはあまりにも酔っ払っていたもんだから。うろ覚えなわけないですよ、みたいなすました顔して、電話をかけたっけ。人混みで見つけた君は、髪を切っていた。「藍ちゃんに会うから髪切ってきた」と、はにかみながら言っていた。悔しくて、あたしも、とは返せず、精一杯にべもない反応をした。三宮のあのうるさい居酒屋で、ほっけを食べたんだった。そのときの君の手が綺麗だと思ったんだ。美味しかったな、あのほっけ。紆余曲折あったけど、あのときほっけを食べていなかったら、君と今も一緒にいなかったのかもしれない。

天邪鬼なあたしは、こないだ君が友達に会いに行く朝、「晩ごはんまでには帰るね」と言っていたのに、何故かその日は落ち込んで落ち込んで1人部屋で延々泣いて、「ごはん食べてくると思ったから用意したないよ」とか嘘ついたのに、「俺が言いそびれてたな、ごめん」と謝らせてしまったとき、もう二度とこの人には嘘をつきたくないと思った。あたしの好きなところ100個言ってと無茶振りしたら、寝つきのいい君が朝の6時くらいまで寝る間を惜しんで振り絞って言ってくれたとき、たくさん喜ばせたいと思った。

 

あたしはもう人と一緒に住むのはこりごりだったし、結婚願望がなかった君がプロポーズをしてくれた夜、まぶたの裏がチカチカと光った。それは暗闇で静かに動く心臓だったのかしら。「君たちはどう生きるか」を観に行ったあとのいつかの晩、「俺はこう生きる!」とか言いながら食べていたポテチの袋を傾けて最後の残りをザザザ〜っと口に入れるような人だけれど、その実育ちが良く、ごはんを綺麗に食べる。この人が誰かの悪口を言うところを見たことがない。でも、あたしが嫌な目に遭ったりすると、自分もそこに居合わせたかのように、あたし以上に怒ってくれる人。誰かが欲しがったら困るので、これ以上は良いところを書きたくない。万が一欲しくなったら、ここにコメント頂戴ね。あたしより良いブログ書く子だったら一旦ちょっと考える。考えた末、敵わないと思ったら、もうどうしようもないので、拳で抵抗するけど。「だますよりはだまされる方がまだいいよ」って歌詞の意味がわかってきた。傷つきたくないけれど、それ以上に傷つけたくないと今なら思うよ。

愛とは、海だと思った。やっとわかった。あたしがたっぷりと、無意識のうちに起こしていたそれは、波として打ち寄せられて返ってきて、今がある。おだやかでいい。凪のときもあるだろう。できるだけ、あたしたちの波が、決してなくならないように。

 

なーんて、米を浸水している間に書いたけど!いつもあたしと仲良くしてくれている、親愛なる皆さまへ。結婚しました。名字以外なんら変わっていないので、変わらず仲良くしてください!

最後に、KANDYTOWN「Local Area」のKEIJUのバースが今の自分にぴったりだと思ったので、今日の一曲として引用して終わります。

 

365 守るものは家族日々隣でしょ

時にAlone だけど広い空どこかに大切な人

何も変わらない 無駄口叩かない

なるべくいつも通り でも昨日と同じじゃない 新しい服着てSmile 

新品のShoes皆で歩く 夢みたいに続くLife

自分の手で変わる未来 また街から街へとFly

過ぎる時間の中でねだる無いもの

何をしても変わらない過去 色褪せぬPhoto

明日何しよう それもいつか走馬灯のよう

だけどやるしかないっしょ

 

f:id:seijunchann:20230821223906j:image

舐めるな、白球追え!

 夏だからayuしか聴きたくないと思ってはいるけれど、夏じゃないとayuを聴かない女だとは思われたくない。とか思っているうちに、8月も半分が過ぎて、台風で初盆の法要は中止になった。お盆前にわざわざ夢に出てきたおばあちゃんには、このことお見通しみたいだったようだ。去年と打って変わって、あたしの姿がころころと変わっていく。ああ、生きているなあとぼんやり思う。

 

夏は、ろくでもないことばかりだった。好きな文章を書く女がいた。それは、ほとんどのろけのようなものばかりだったけれど、なぜか「読ませる」文章で、あたしの興味はいつの間にか彼女でなく、そんな文章を書かせる彼女の彼氏へと移っていた。彼氏はつまらない男だった。いっぺん寝ただけなのに「付き合おう、彼女とは別れる」と言った。ブログはもう更新されなくなった。

そんなことをしていると、あたしにバチが当たる。バチがあたしに当たった末、バチを当ててきた女にも、バチが当たった。バチのループだ。女と男の間に「バチ」は付きものみたい。だって、口約束の下ではお互いの信頼関係がないと成り立たないもの。笑っていいよ。愛してくれる優しい人、君にも見つかるといいね。

 

あれは一年前、暑い夏で、額に汗を浮かべながら重たいものを背負っては電車に乗っていたときだ。その行為は、心臓がずんずん突き上げられる感覚がして、脳みそがびりびり痺れて、セックスなんかよりずっと気持ちがいいと思った。そんなあとに聞いた君の声は、疲労感と達成感とかでずぶずぶに濡れているあたしの鼓膜にやけに響いて、ずっと聴いていたいと思ったんだった。場違いなあたしたちは、場違いな朝の日本橋を、場違いに手を繋いで歩いた。あれからずっと、場違いに踊り続けている。そして、口約束なんてなかったことみたいに、法の下にすがろうとしている。それは、かわいらしくて、みっともないかもしれないけれど、あたしたちらしくて、まあ結構いいんじゃないかなと思っている。

 

え〜、てかあたしのブログは読んでくれないくせに、あの子のnoteにはいいねすんだね?!夏の高校野球を垂れ流しながら、片手間なエッチしてんじゃないわよ。金玉舐めるな、白球追え!

 

今日の一曲

ひなたぼっこ / ローザ・ルクセンブルグ

f:id:seijunchann:20230817184820j:image
f:id:seijunchann:20230817184824j:image
f:id:seijunchann:20230817184827j:image

なんかよかった建物と 週3くらいで食べてたアイス

 

 

愛してるぜは言わないわ

大食いのが絶対かっこいいって昔から思っているけれど、食べるのが苦手だ。人前なら尚更。今まで酒飲んでると食べないんだよね、タバコも吸いたいし、って言って誤魔化してたけど、夏は余計に食べられない。人前なら尚更!!!家族でも友人でも恋人でも、それは関係ない。食べるのが苦手だ。そうめんばかりくっててもいいのか。うん、いいよって言ってあげるね。だって照れくさいだろ〜。

夏のライブハウスによくいる、ナードと見せかけてゴリゴリの陽キャみたいな人間がこわい。でも、いっぺんやっただけの男のことを「元彼」と呼んでる女はもっとこわい。あたしも、サシで飲んでただけやのに無理やりちゅーされ無理やりホテル連れ込まれそうになった人に「元カノ」って呼ばれてたらどーしよ?(どーする?)

鼻炎でぐしゅぐしゅ鼻をすすりながら申し訳なさそうにする同居人に、鼻が詰まっていても好きだよ、と言ってみると「歌詞みたい」と言われた。歌にすらならない人生なのにな。この先の孤独を憂うより、今あたしのことを好きな男に毎日腕枕をしてもらう道を最短ルートで選んだだけ。それでも、あたしのこと舐めてかかってくるジジイには、よしよし毎日がんばっててえらいねって労うふりして、チンコ舐めたげるふりして、そのまま奥歯で噛みちぎりたいよ。でも別に何とも戦ってるって思われたくないし、がんばってるとか絶対思われたくないし、だからネイルはゴテゴテにするし、守りたいものは絶対に守りぬく。プリキュアにはなれなかった。なりたいとも思わない子供だった。それが、本当に欲しかったもの・なりたかった存在を手に入れようとしている。こわい。全部ドッキリだったらどーしよ?(どーする?)

f:id:seijunchann:20230727204042j:image

ソフトクリームのような入道雲

 

今日の一曲

踊ってばかりの国 / 夕日

 

女はギター2

サンローランのプライマーを鼻や額に、顔全体にはエスティローダーのダブルウェアを塗りたくるようになったので、梅雨明け、季節はもう夏。梅雨は本当にダメになる。しかし、それが現れたとき、あたしは不思議と焦りもせず、ひどく冷静だったのだ。体の奥底には、海があるのだといつも思っている。それはとても静かで、冷たくはなく、ただゆらゆらと波打つだけ。考える。たった1分だけのように、もしくは1時間くらいのように感じた。まばたきをしながら、自分がが発した言葉とともに、涙がぼろぼろ溢れた。

 

人生で最も慌ただしい夏だ。今まであたしは特にやりたいことがなくて、強いて言うなら顔にメスを入れたり、ちまちまとホクロやそばかすにレーザーを当てながら年を取っていくものだと思っていた。脳みそは不安とニコチンに支配されるなか、体は休むことなく細胞分裂しつづけ、それは眠っている間でさえ止まらない。毎晩、たくさんの夢を見る。本当のぬるい眠りだ。あたしがあたしじゃなくなっていくみたい。「どこにも行かないで」と駄々をこねたい。赤子みたいだった男が、あたしよりずっとしっかりし始めた。あたしだけいつまでも置いてけぼりみたいだ。部屋で音楽を聴くよりも、アコギが鳴っている時間のほうが増えた。「夏は一人で眠りたい」と言っていた一年前がひどく遠い昔のように思える。隣で眠るその人は「起きたら藍ちゃんがいて嬉しい」と微笑む。いびきをBGMにこれを書いている。

 

自分が大事にされていると感じるとき、同時に大事にしてくれている相手のことを、とても愛おしく思う。

 

君は誰、会ったことがある気がするけれど、きっと初めましてか。まだ眠っているのかな。何を思って、あたしに会いに来てくれたのだろう。リルケの詩を思い出す。どんな風にあたしに来たか。あたしのあごは、彼の髭の剃り残しがざらざらと撫ぜたせいで、ほんのり赤くなっている。毛繕いされる猫を思い出す。どこにも行かない、それまで眠り続ける。

 

 

今日の一曲

SCUM PARK / Have a Nice Day!

 

f:id:seijunchann:20230715113758j:image

あの子の彼氏とキスをしていたらクリームソーダは溶けて、気づいたら俺はなんとなく夏だった!?はーい、これが本当の「誰にもわかってほしくないから日記に書かないしあわせ」でーーーす!!!

一人称が名前の女の子になりたかった

常々思っているのだが、50音の「あいうえお」の最初の二文字で「愛」なの、ヤバくないか。はじめにアイがあった、ってこと?!「所有欲も愛のひとつ」っていうのは、愛の宣教師みたいなあの人が書く曲に出てくるフレーズ。

てか結局、愛とはいったい何なのか。「無償の愛」という言葉があるが、その逆で「有償」の愛もあるだろう。課金したぶんだけ返してもらえる、対価としての愛。お金で買える愛。じゃあ無償の愛とは?一途でい続けること?相手を想って叱ること?“正しい”と思う方向へ導くこと?お腹が痛いときに手を当ててくれることなのか、好きな食べ物より嫌いな食べ物を覚えていてくれることなのか、生理中に口でしてあげることなのか。わからない。

あたしはお人好しの八方美人のくせ捻くれてて、自分が傷付いたら相手にも同じくらいかそれ以上に傷付いて欲しいと思っていた。「そんなことすると君の魅力とかそういうものも傷ついちゃうよ」と諌めてくれた人、その人がいなければ、今頃嫉妬でぐちゃぐちゃに歪んだ悲しきモンスターに成り果ててただろう。あのときはありがとね。束の間でも身に余るほどの愛情を注いでくれた人、美しい人。あなたのその言葉と行動は、間違いなくあたしへの愛なのだと思いました。

 

「一生」とかわからない、そんなものはないと思っていた。「絶対」以外いらない。こわい。今後また、必要以上に傷付くことが。そして、あたしが誰かを傷付けることが。ずっと考えてたい。確かに愛したい。

そうだ、愛することは、信じることだ。信じたいのだ、180°変わった君の発した一言一句を、あたしを想って行動で示してくれたことを。今のあたしなら愛せるし、愛すよ。

 

ずっと一人称が名前の女の子になりたかった。可愛い女の子は、たいてい一人称が自分の名前だったから。あたしの名前は、50音の「あいうえお」の最初の二文字なのに、それを自分に使うのが難しかった。名前に意味なんてないかもしれない、けど両親につけられたそれは、お守りのように、ときに十字架のように、あたしという自己を形成しているように思う。そして、自分でこそ呼ぶことはないが、他人に呼んでもらうたびに、夢みたいに綺麗な響きだとうっとりしてしまう。生まれて二十数年間、何百回、何千回と呼ばれているのに。今では自分と同じくらい愛おしくなったその手を、声を、君が大切にするのと同じくらい、大切にしたいとは思っているんだけれど。

 

 

今日の一曲

大森靖子 / 君に届くな

f:id:seijunchann:20230620154818j:image

いつだか友達が飲んでいたガリチュー、クラゲみたいで綺麗だった。彼女とはクリスマスに京都のすいばで3時間も立ちっぱなしでガリチューを飲んだことがある。あのとき、うちら戦士みたいだったね。何と戦ってたんだろ。来てくれてありがとね。早くまた一緒に飲めますように。

愛の執行猶予

鶏が先か卵が先か?漫画が原作かアニメをコミカライズしたのか?幻想の中で恋は赤いイメージなのかみず色なのか、水色なのは呪いの方か?執着するのが愛なのか愛があるから執着するのか?許すのか許さないのか、人殺すかラッパーになるか。考えることが多すぎてばかばかしくなり、また髪を切った。ボブが良く似合うのは昔から気付いていた。男の涙に弱いと気付いたのは最近だった。
 
ところで、かの有名なアイドルの「ハメ撮りだってしたのにふざけんな」って名言あるじゃんか。あれ、ちょっと違ったかも。まだちんこを舐めたことがなかった頃に聴いていた「あたしのアップの写真を送るからお腹が空いたらチンして食べてね」という歌、その意味をわからないまま聴いていたなんてあまりにも危うすぎる。人に許しを乞うのはあまりにも簡単すぎる。求めてもないのに「自分の機嫌は自分で取る」という言葉を耳にする機会が増えた。自分でも使っていたけれど、最近はうんざりしてるよ。いつだかバチバチにバトった歳上の女があたしに向けて書いていた「若さしかとりえがないなんて愚かだ」という言葉の意味を理解し始めた。ほとほとうんざりしてるよ。外はどしゃ降りで靴下までびしょ濡れだし。ここ何年かは好きな人からの連絡は来なくなった。どこで楽器弾いてどこで歌ってんのかも知らん。あたしから教えてとも訊かない。どうかしてる。2020年代に突入しても、傘という原始的な方法でしか雨を凌げないなんて自然への畏怖の念を覚える。どうかしてる!
 
ハイになった脳みそから下された判決は、執行猶予つき。初犯だということを考慮した結果らしい。日本は法治国家だが司法は甘い。それと同じくらいあたしも甘い。外国のお土産でもらうよくわからんチョコよりも遥かに甘い。
一年で二番目に苦手な季節がやってきた。髪を染めよう。外はどしゃ降りでマスカラは取れたし。それとね、あたし、呪いはピンク色だと思うよ。
 
ライフハック:月経周期を迂闊にツイートしてはいけない
 

今日の一曲

椎名林檎 / 闇に降る雨