“クリスマス寒波”と言われた日の晩。路上で酒を飲むために、寝起きの顔にやっつけ仕事でせっせと瞼にラメを置いて、ヒートテックを2枚着終えたところでアイコスを動かし、やっとLINEを開いた。通知が25件。あたしはその後すぐに「誕生日おめでとう」の言葉の何たるかを知ることになる。
姉に子供が産まれた。女の子だ。エコー写真ではムーの宇宙人みたいだったのに、姉の腹から出てきた彼女の小さな手足を見て、胸が詰まる思いになった。たくさん写真を送ってくれたけど、泣いてるものは一つもなく、えらくご機嫌そうな表情だった。一時は危険な状態になりそうだったそうなのに。地球に出てきて一日目と思えない。でもちゃんと「まだ何もわかりません」みたいなとぼけた顔をしていて、黒々とした大きな潤んだ瞳は銀河みたいで、大人の指をやっと一本握れるくらいの小さい手指はお飾りのようにしか思えない。なんて可愛いんだ。赤ちゃんって、自分とは違う生き物のような気がする。全てが愛されるためだけに作られている生き物だ。
物心がついた頃から、家族や友達に何の気なしに贈っていた言葉。自分も言われていた言葉。その意味が、初めて姉妹に子が生まれ、こういうことだったのか、とわかった。今までの自分の人生すら回収した気分だ。誕生日おめでとう。幸せな気持ちにさせてくれてありかとう。いつかあなたが悩んだりしたとき、その時あたしに教えてくれるかはわかりませんが、この日あなたが産まれてくれて、みんなを嬉しい気持ちにさせてくれたことを話せたらな。あなたの未来が、どうか幸多からんことを。
そして萌ちゃん、あなたは本当にカッコいいです。あたしの尊敬する女性であり最高のお姉ちゃん。お疲れ様、おめでとう！
今日の一曲
The Birthday / なぜか今日は
早く会おうねえ
