nuruinemuri

タイトルに偽りアリ

自分が一番痛い時期を知っている人には人質に取られている気分 ②

アイシャドウのラメは、自分を可愛く飾るものなのに、誰かの頬や鼻や唇や、胸板に付いた途端、意味のないものに変わり果てる。全部拭いたくなる。あの晩は、大粒のホログラムを、涙と勘違いされただけだ。あたしは泣いたことがないもの。涙を流す価値すらないです。八方美人を20数年やっていると、口での表現の仕方、感情の伝え方が困難になり、あたしの言ったことなど全部ただの酔っ払いの戯れ言へと変換され、怒りも悲しみも、誰かの所有物になってしまう。何に対して怒ったのかおそらく1ミリも伝わっていない。それでも別に良い。諦めではなくて自己防衛。あたしの感情はあたしだけのものだ。誰にもくれてたまるか。

爆弾低気圧は、人をおかしくさせる。「嫌いじゃないんだけど」「悪い人じゃないんだけど」「君のためを思って言っている」はこの世に存在する最も醜い免罪符である。あたしは自分の目で見たものしか信じないのに、「親切」な言葉がこだまする。高校野球甲子園球場の応援席くらいうるさい。何もわかっていない。

可愛い男の子はギターが上手いという法則があって、きっと今日のライブは良かったんだろうな、会いたかったな、でもこんなぐしゃぐしゃな気持ちと顔じゃあ会えないな、と言うことに対してのみ落ち込んだ。音楽は魔法ではないってこういうこと?バンドマンなんて、目の前の人間にだけ誠実でいてくれさえすればいいってみんなわかってるでしょ。あの小さなライブハウスのステージを踏み台にして、馬鹿デカいホールまで飛んだのだとしたら、それはもう彼自身の脚力が強かっただけで。でもやっぱり、外野がプロ野球の京セラドームのスタンドくらいうるさい。来週はライブハウスに遊びに行こうと思う。でもやっぱりあなたのロックンロールじゃ、思想じゃ、もう酔えないよ。

心に雨雲、そばに闇雲

 

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グローをなくしたのはただの言い訳で、真似して買ったiQOS