nuruinemuri

タイトルに偽りアリ

いなくなったあたしは神の子になれるかな

16歳の頃、地元のTSUTAYAで「死ぬまで一生愛されてると思ってたよ」をうっかりレンタルしてしまった。ジャケットがピンクで可愛かったから。帰宅してコンポにセットし、間違えて爆音で再生してしまって、イントロのギターでびりびり痺れた衝撃に比べちゃ、自ら血を流して大人になったときのことなんて、薄っぺらくて虚しくなったことを思い出していた。そのとき聴いたどんな音楽より血生臭くて、頭皮から足首まで全身の毛穴という毛穴が鳥肌立った。死ぬまで一生〜とか言ってる歌で始まるくせに、そのあとはなんてことなかったみたいな曲が続いて、でもかわいそうなくらい痛々しくて不憫で、なんかすごい汚れている捨て犬を拾って、洗ってあげると綺麗な顔をしていた、みたいな気持ちになった。多感な時期に聴くのは危険すぎる。「死ぬまで一生愛されてると思ってたよ」はふたりの夢やったんかな。「東京に消えてゆく」ってことやったんかな。わからないままでいいけど。

引っ越しは恋愛と似てるかもしれない。別れるときに、猛烈にさみしくなる。気がつけば街ごと全部大好きになっている。相手の好みが自分の好みにもなってしまうような感覚。でも新居は新居で愛おしいの。時間とともに新しい街も好きになる。今回の部屋は、内装に一目惚れしてその日のうちに即決したところ。可愛いがゆえに不便なところも結構あるけど、そこがまた可愛い。

可愛いものである条件は、無駄なこと、手間がかかること、不憫なことだと思っている。洗面所は収納が少なくて使いづらいけど、可愛い。ミキオサカベのスニーカーは足が疲れるけど、可愛い。爪が長くて邪魔だけど、可愛い。愛おしい。

あたしは「可愛い」が最大級の褒め言葉、愛情表現だと思っている。「かっこいい」はなんか違うんだな。「可愛い」人は、もう好きな人なのだ。

 

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可愛かった電気

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可愛くしてもらった爪

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メトロこうべのクリスマスの装飾、がんばって飾りつけたみたいで可愛かった。神戸、またいつか住みたいな。

 

卑しいあたしはアイコスの終わりかけの点滅が始まったら慌てて三度くらいイッキ吸いする。タバコの煙と吐く息の白さが混ざって、どっちがどっちだかわからなくなる。冬だ。側に居てくれる人たちを、味方でいてくれる人たちを、目いっぱい愛したい。先のことはわからない。でも、

 

 

今日の一曲

銀杏BOYZ / 骨